Global Career Guide
内定承諾後の退職から入社までの期間は、多くのトラブルが発生しがちです。退職交渉から入社準備までスムーズに進められるように、退職から入社までのトラブル事例、およびその対処法を説明していきます。過度にトラブルを恐れる必要はありませんが、「立つ鳥跡を濁さず」となるよう、現職への感謝を忘れずに退職交渉を進めましょう。
退職届を受理してくれない!
現職が人材不足だったり代わりが見つかりにくい業務だったりする場合、強い引き留めに合い、退職届を受理してもらえないということもあり得ます。ただし、退職の意志を伝えているにも関わらず退職が認められない場合は、企業側の“違法行為”となる可能性があります。
民法では退職届の提出から2週間後に退職の効力が生じます。ただし、あなたが退職手続きについて就業規則にそった行動をとっていなかった場合、例え退職を拒否されても現職企業の違法行為として認められないことがあります。現職の就業規則を確認し、所定の手続きを確実に行った上で上記のような引き留めにあった際には、毅然と対応しましょう。
健康診断の結果後、内定企業から入社取り消しの連絡がきた
職業差別に繋がるため、企業は健康診断の結果を採用の判断材料とすることが原則としてできません。(※乗り物の運転手など、一定の職種については健康面を判断材料にすることが認められています。)ただし、面接時に健康面のことを聞かれた場合、申告すべき健康状態を明らかに隠したり嘘をついたりした場合には、内定取り消しになる場合もあります。健康状態について聞かれた際には、嘘偽りなく答えましょう。
退職交渉で年収をもっと出すから残ってほしいと言われた
退職交渉時に、「今より年収などの条件をもっと良くするから残ってほしい」と引き留めに合う場合もあります。現在の環境のままで、より良い条件になるのであれば、転職先で新しい環境になじむ手間やリスクがなくなると考えて転職を思い止まってしまうケースもあります。
この場合、会社を離れるリスクではなく“残った場合のリスク”も考えた方が良いでしょう。この時点で年収を上げる企業は、日々正当な評価をしていないと露呈しているようなもの。また、引き留めの際に条件面を交渉材料にする企業は、目先の仕事が心配で人材を引き留めることが多く、その後あなたの代わりとなる人材を探し始めるリスクもあります。短期的に良い条件を与えられても、それが継続するとも限りません。ぜひ長期的な視点で慎重に判断してください。
入社日を変更したい!
前職の引継ぎが予想以上に長引いてしまうなど、やむを得ない事情が発生することがあります。「入社日に間に合わせる努力をした」という姿勢を見せながら入社日変更を相談してください。
企業によっては、同日入社予定の社員と共に研修日を調整している場合もあります。入社日の変更は企業側に大きな負担となりますので、よほどのことがない限り行わないでください。旅行・帰省などの個人的な事情での入社日変更は、入社前から会社の信頼を失ってしまうことになりかねないので、絶対に行わないでください。
有給休暇の消化を認めてくれない!
労働基準法に定められた日数分(労働基準法第39条)は、有給休暇取得の権利が発生します。これは、就業規則に有給休暇のことが書かれている/いないに関わらず適用されます。労働者が求めているにも関わらず、会社が退職時に有給消化を認めないことは、違法行為に該当します。
ただし、現在の業務に支障をきたす有給休暇はマナー違反です。退職時に有給休暇の消化を希望する場合は、下記の手順で進めてください。
① 自分が持っている有給日数が何日あるのかを確認
② 引継ぎを完了させ、有給休暇も消化できるタイミングで退職日を申し出る
現職の負担にならないように、円満退職を心がけながら有給休暇を取得してください。
現職から転職先へ嫌がらせをされた
世間は広いようで想像以上に狭いことも多く、前職とまったく関連性のない会社に転職をしても、思いがけないところで人と人は繋がっています。同一業界である場合は、特にその傾向が強いです。人の噂はポジティブなものよりもネガティブなものの方が広まりやすいのが常であり、特に転職元の会社側は転職していく人に対してネガティブな感情を抱きやすいです。
転職を現職でオープンにした後は「転職先は決まっているの?」「次は何をするの?」などと確実に質問されると思いますが、既に決まっていても「落ち着いてからお知らせします」と曖昧に受け答えておく方が良いでしょう。ネガティブな感情を抱かせないためにも、退職時の交渉や手続きをていねいに行い円満退職を心がけましょう。